2012年4月8日日曜日

公立陶生病院 陶生ニュース


外来化学療法室移転のご案内

 このたび昨年の12月に南棟二階に外来化学療法室が移転いたしましたので、ご紹介いたします。 最近の抗がん剤治療は通院治療が主体となってきていますが、外来化学療法室ではそのような長時間かかる治療をできるだけ快適に、また安全に受けていただけるようにと設置しています。当院では2005年7月に中央処置室の一角を改装し8床で外来化学療法室を開設し、2008年9月からは12床に拡張しておりましたが、それでも手狭となり、今回は24床と東海地区でも指折りの規模に拡張しました。
 新しい外来化学療法室は、南棟二階の健廉管理部の奥にある日当たりの良い場所です。入って受付までの間に待合があり癌に関する情報が閲覧できるようなスペースも配しています。中庭側にチェアタイプの5床とベッドタイプ5床、南側にチェアタイプの5床とベッドタイプ9床を配置しています。奥には診察室を用意し、外来化学療法室でも診察が行えるように準備しています。さらに今後幅広いニーズにこたえていくために、診察室を利用して薬剤師による服薬指導や、栄養士による栄養指導などにも取り組んでいければと考えています。また、体が不自由な方でも使いやすいよう広めのスペースの多目的トイレをご用意しております。外来化学療法室の中には、抗がん剤の調整をする安全キャビネットを二台設置した調整室も� � �ります。ここには薬剤師が常駐し、診察の後医師の指示を受けて抗がん剤を直ちに調製し、速やかに安全に開始できるように心がけています。
 それぞれのベッドはプライパシーが保てるようカーテンで区切られています。各ベッドではテレピを視聴できるようになっています。できるだけ快適にすごしていただける様、部屋の色調ほゆったりとりラックスできるような柔らかいものを選び、窓のカーテンも自然光が取り入れられるように口ールカーテンを半透明なタイプと遮光のタイプのダブルにしました。空調は独立して行い、各治療スペースで空気が入れ替わるように工夫しており、またBGMやアロマなども取り入れています。スタッブは3月現在、医師のほか看護師4名、事務1名で治療に当たっております。
 4月以降は、リウマチの治療や骨転移に用いる薬など抗がん剤以外でも外来化学療法室を利用して治療できるように予定してます。利用して頂かずに済んだほうが良い施設ですが、地域の皆様に親しまれ、信頼され、期待される部署作りに心がけていますので、万ーの際には安心しでご利用ください。よろしくお願いいたします。

がん診療部化学療法室長 呼吸器・アレルギー内科部長 木村智樹
No.64 2010.4.1発行 編集:教育・広報活動委員会

動脈硬化外来の勧め

 今までに血圧が高いとか、糖尿病があるとか、コレステロールが高いと言われたことはありませんか。
 その治療は、何のために行うのでしょうか?ちょっと考えてみましょう。
血圧が高いと言っても、測って初めて気がついたり、糖尿といっても、初めのうちは何にも症状がありませんね。コレステロールが高いと言っても、痛くもかゆくもありません。太っていても、動くのが多少おっくうなだけで食事はおいしいですよね。みなさん、今のうち(初めのうち)は… でも、これらはみんな動脈硬化の原因です。
 動脈硬化?聞き慣れた言葉ですが、なにが起こるの?
やっぱり痛くもかゆくもないんじゃないの?
でも、ちりも積もれば山となってしまうのが動脈硬化です。
血管の壁に、余分な脂質が取り込まれていきます。脂を食べた細胞が、太っていきます。
脂がたまったところで炎症が起きます。 血管の中に脂の山が盛り上がっていきます。血管は広場ではありませんので、中が狭くなっていきます。
炎症により、血管の一部(脂の表面を覆っている薄皮)が弱くもろくなり、ある日突然、はじけて詰まります。
脂が徐々に骨の成分と同じカルシウムとなり固くなっていきます。
 こんなことが、首や脳の血管に起こると脳梗塞、心臓の血管(冠動脈)に起こると心筋梗塞や狭心症、腎臓の血管に起こると腎血管性高血圧や虚血性腎症(慢性腎機能障害)、足の血管に起こると下肢閉塞性動脈硬化症・下肢壊疸という病気になります。 症状が出るほどに進行すると、後戻りはできません。
 これらの病気が1個見つかれば、2個以上持っている確率は20~40%あるといわれています。まだ、症状は出ていませんが、近い将来病気として顔を出す素地があちらこちらで進行しているわけですね。 さらに、1個だけ持っている、より、2個・3個と病気を併せ持っていると、入院が増えたり、はては寿命が短くなることがわかっています。
何にも症状を感じない異常(高血庄・糖尿病・脂質異常症)が、
時間とともに→→→動脈硬化を進行させ
時間とともに→→→症状があり不快で後戻りできない病気(脳梗塞・狭心症・虚血性腎症・閉塞性動脈硬化症)となってくるのです。
 動脈硬化の進行による前述の病気は、それぞれの臓器(脳・心臓・大動脈・四肢の血管)の病気ではなく、polyvascular disease(全身血管病)といい、身体を巡る血管全体の病気ととらえられるようになってきました。
 さあ、初めに戻りますよ。つまり、高血圧や糖尿病・脂質異常症は、将来動脈硬化による進行した病気を出現させないために、今のうちから将来にわたって行うのです。 それでは、私たちの動脈硬化は進んでいるのでしょうか? 従来は、症状が出てはじめて検査をしました。症状がないと皆さん気がつかず検査もしませんでしたし、また、簡単には調べることができませんでした。残念ながらそれでは遅いということがわかりますね。
 しかし、近年、医療機器の進歩と導入により、症状のでないうちでも動脈硬化の程度・進行(血管の狭窄の有無や、血管への脂のたまり具合、血管の固さなど)が調べられるようになってきました。64列CTや超音波検査・MRI検査などです。 公立陶生病院・循環器科では従来から、全身の動脈硬化に目を向けた診療を行なってまいりました。このたび、これをさらに充実させて系統立てた診療ができるように『動脈硬化外来』を始めました。
 すべての検査を、外来で受付ていただくことができます。
来院された当日に、可能な限りの検査を受けて、その日のうちに結果を聞くことができます。 詳しくは、病院のホームページで確認いただくか、当院紹介患者受付・医療相談窓口に「動脈硬化外来受診希望」とご相談ください。症状のある人はもとより、無い人も高血圧・糖尿病・脂質異常症で治療中の方は、動脈硬化を調べ、将来の病気に進行しないようにしていきましょう。

循環器科部長 浅野 博
No.63 2010.1.1発行 編集:教育・広報活動委員会


薬は籐細工職人のエージェントを保護しているか

作成する方法をあなたの自己は、重量を失うことと思います

脊椎内視鏡下手術(MED法)

~腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症~
 腰痛や下肢痛(脚や足の痛み)でお困りの方は多いと思います。しかし、「脊椎脊髄の手術は危険でできれば避けるべきj、「手術に行ってもあまりよくなかったjなどの話を時々開きます。整形外科医がかかわる脊椎疾患は主に神経の圧迫病変であり、その手術はその圧迫を取り除くこと〈除圧)が主となります。
 そのためには、筋肉を骨からはずして背骨の屋根の骨を削ったり、厚くなった靭帯を取り除き、場合によっては、神経をよけて椎間板を切除することもあります。その際、あまり切除範囲が大きいと背骨が不安定〈背骨がグラグラすること〉となるため(もともと不安定な場合もそうですが)、金属や自分の骨盤の骨で固定〈背骨をくっつけること)する必要があります。そのための手術方法としては、除圧のみ、固定のみ、除圧+固定の3つが考えられることとなります。
 脊椎手術の問題点をあげると、圧迫を取り除けば、良くなるというわけではないことにあります。神経そのものが悪くなっていて回復する能力が弱くなっている場合もあります。
 また、多くの方が腰のMRIの検査をすると年齢の変化で何か所も圧迫がある場合がよくあります。圧迫があっても症状と無関係な部位もあるため、全てを手術することは広範囲の固定が必要になる(腰が曲げにくくなる)こととなります。できれば、悪い部分のみを除圧し、固定も不要であれば体の負担も少なくてすみます。そのため、いろいろな検査をして症状の原因となる部位をつきとめますが、100%診断することは困難です。術前の診断が非常に重要ではありますが、全てを明確に判断できない場合もあり、手術をしても良くならない時もあります。
 診断のための検査は、造影剤を背骨に注射するものが主です。脊髄の通り道を調べる脊髄造影、椎間板の状態を調べる椎間板造影、神経の枝に針をさして造影剤を注入する神経根造影などを行っています。これはかなり痛い検査ですが、いつもと同じ痛みがでれば、その後、麻酔薬を追加します。症状が軽くなれば、この神経が悪いと判断しています。
 腰の圧迫の病気は腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症が多くを占めています。いずれも腰痛や下肢痛、しびれが主症状です。最近は出来る限り負担の少ない手術を行うべきという考えがあり、その1つとして内視鏡を用いた手術が開発され、当院でも昨年9月から内視鏡手術(MED法)を導入し、当初は、ヘルニアに対して行ってきました。その方法は、腰椎の周囲の筋肉に16mmの管をいれ、筋肉をはがすことなく背骨の屋根の骨の一部と靭帯をその筒のなかで取り除き、神経を確認してヘルニアを摘出する方法です。
 メリットは、傷口がわずか16mmで出血が少なく、筋肉などを骨から剥離しないため回復が早く、術後の痛みが少ない。ピンポイントに圧迫を取り除くため、手術翌日には歩行が可能となり、早期の退院や社会復帰にもつながるといわれています(従来法では1週間程度ベッド上で寝てもらっていました。)。しかし、内視鏡手術にも欠点があります。内視鏡手術は、術者に高度な技術が求められ、習熟にはかなりの経験が必要となり、時間が従来法よりかかることがあげられます。神経の癒着が強いと16mmの管のなかでは操作が困難なため、従来手術に切り替える場合もあります。最近では腰部脊柱管狭窄症などの固定する必要のない手術にも適応をひろげています。手術をピンポイントに行うことは身体への負担は少ない反面、診断がよ� � �重要であり、徹底的な検査を行ったうえで選択すべきと考えます。
 脊椎内視鏡の分野の進歩はめざましく、腰椎椎関板ヘルニアは当院でもおこなっているMED法のほかPELD法という方法があります。MED法は全身麻酔で行いますが、PELD法は局所麻酔で行うことができるため、今後、普及する可能性があります。現在行っている施設は限られ、保険 適応外で行っている施設もあるようです。
 しかし、今後は、内視鏡手術が普及し、持病のため手術をあきらめ、腰痛や下肢痛を我慢されてみえる方に少しでも道が開ければと思っています。

整形外科部長 室 秀紀
No.62 2009.10.1発行 編集:教育・広報活動委員会

小児の予防接種について~ワクチンを受けましょう~

 ワクチンといえば、種類もいろいろ、接種時期もさまざまで、お母さんの頭を悩ませるものの1つかと思います。ここ数年で、その種類が増えたり変わったり、また複数のワクチンの同時接種が可能になるなど、さまざまな変更がありました。いくつかをピックアップしてまとめてみたいと思います。
1. MR(麻疹風疹混合〉ワクチン
 麻疹(はしか)は数年前に高校生・大学生で集団発生して話題となりました。日本でも、報告されているだけで2008年に1万1000人余の方が発症しています。
 肺炎や脳炎を合併することがあり、現在も日本で年間数十人が麻疹で死亡しています。発症者の大半がワクチンの接種歴がありませんでした。
 麻疹は人から人へしか伝染しないため、ワクチンなどで根絶が可能とされています。日本では2012年までに麻疹を「排除」する計画を立てています。
 麻疹発症が減った程度により、「制圧→集団発生→予防→排除→根絶」の順に進みます。南北アメリカ、ヨーロッパ、韓国など複数回ワクチンを接種している国はすでに「排徐」の段階ですが、日本はワクチン接種率の抵さもあり、まだ「制圧」の段階もクリアできておらず、「麻疹輸出国」と警戒されています。
 日本でも2006年より風疹と混合ワクチンとなり、やっとこ2回接種となりました。2回接種する目的は、1回の接種で免疫がつかなかった子ども(接種者の5%ぐらい)に免疫をつける、免疫が減衰した子どもたちに刺激を与え免疫を強固なものにする、また、1回目にに接種できなかった子どもたちの接種のチャンスとする、の3点です。
 1期は1歳になってすぐ、2期は幼稚園・保育園の年長さんの時期に接種することになっています。2008年から5年間は、2回目を接種できていない年齢層を考慮して、中学1年生・高校3年生での接種をすることになっています。
 1990年代半ばに接種後の強いアレルギ一反応が問題になった時期がありましたが、結局はゼラチンアレルギーと判明しました。現在はワクチン全般でゼラチン成分は使用されなくなり、アレルギー反応も激減しました。卵アレルギーでもほとんどの人が問題なく接種できます。また、どちらか一方に罹ったことがあってもMRワクチンで問題なく接種できることになりました。


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マレーシアから伝統的なマッサージを行う方法?

2. 日本脳炎ワクチン
 日本脳炎は、1950年頃には年間5,000人の発症と2,500人の死亡がありましたが、現在は年間10人程度の発症に減っています。しかし、過去の病気ではありません。日本脳炎は主にブタで流行し、蚊が媒介してブタから人間にうつります。人→人の感染はなく、豚肉を食べてもうつりません。愛知県のデータはありませんが、隣の三重県では80%以上のブタに感染の痕跡が残っています。人間にうつっても発症するのは100~1,000人に1人と言われていますが、脳炎が発症すると20-40%が死亡し、死亡しなくても半数の人には後遺症が残ると言われています。
 発症者の大半はワクチン接種をしていない40歳以上の方で、ワクチンによる抵抗力を持っている世代での発症はほとんどありません。つまり、ワクチンにより発症が抑えられていると考えられます。しかし、最近は3~6歳でのワクチン接種率が抵下し、抵抗力の無い人が増えています。ここ数年で2名の若年者の発症があり、愛知県でも成人で2例発生(内死亡1例)しています。
 ADEM(アデム:急性散在性脳脊髄炎)という病気と旧型のワクチンとの関連が否定できない(日本脳炎ワクチン接種100万回に1回程度起こるとされますが、他のウイルス感染でも起こり得るため、全ての症例が本当にワクチンと関連しているかは不明)といわれ、2005年5月以降積極的な接種は控えられていましたが、今年6月になってやっと新型ワクチンが接種可能となりました。

3.Hibワクチン
 b型インフルエンザ菌、略してHib(冬に流行するインフルエンザとは違います〉に対するワクチンです。Hibは細菌性髄膜炎 (日本で年間600名〉や急性喉頭蓋炎の原因となる細菌で、ともに致命的になったり後遺症を残し得る病気ですが、ワクチンにより、アメリカではこの菌による細菌性髄膜炎が「100分の1」に減っています。日本でもやっと、2008年12月から接種可能となりました。  生後2ヶ月から5歳未満のお子さんが接種対象ですが、接種の回数とタイミングは接種を開始する月齢により異なります。まだ、任意接種で自己負担が必要となります。7ヶ月未満からの接種開始が望ましく、三種混合ワクチンとの同時接種がお勧めです。
 予防接種は、自分を守るために、また社会のマナーとして、積極的に接種すべきです。疑問や不安なことがあれば遠慮なく小児科外来にてお尋ね下さい。

小児科部長 森下雅史
No.61 2009.7.1発行 編集:教育・広報活動委員会

新世代の内視鏡~カプセル内視鏡~

 内視鏡検査はつらいもの。皆さんそう思っていらっしゃるでしょう。イスラエルのギブンイメージング社は飲むだけで腸の検査ができるカプセル内視鏡を2001年に欧米で発売し、瞬く間に普及しました。日本では2007年10月に厚生労働省の保険認可がされ、国内の約160施設で検査が行われています。当院でも昨年からカプセル内視鏡システムを導入しました。
 カプセル内視鏡は大きさ26X16mm、重さ3.45gで大きな飲み薬のような形をしています。内部にはレンズ、発光ダイオード、電池などを内蔵しており、体につけた受信機にデータを発信します。1秒間に2枚ずつ、約8時間で約5万5000枚の真を撮影可能で、検査終了後にそのデータをコンビューターで画像として確認します。
 検査を受ける患者様には8時30分に来院していただきます。カプセル内視鏡からの画像を受け取るセンサーを腹部の8箇所に貼り、腰にセンサーからの情報を記録する装置をつけて薬を飲むようにカプセルを内服してもらいます。2時間経ったら透明な水分をとってもいいし、4時間後からはうどんなどの軽食を食べていただくことも出来ます。8時間後に再度来院していただいた上で装置を外し、その聞は日常生活や仕事も可能です。
 食道、胃、小腸、大腸は、食べ物を分解、消化し栄養として吸収するための臓器としてまとめて"消化管"と言われています。小腸は全消化管のなかで最も長い臓器で約6mもあります。このため従来の胃カメラや大腸カメラでは観察は不可能であり、最近まで"暗黒の臓器"といわれるほど十分な検査が困難でした。
 消化管のどこかで出血し、おしりから血液の混じった便が出てくる(もしくは口から血液を吐いてしまう)消化管出血と呼ばれる病気があります。放置すると出血が続き、貧血症状が出ることもあれば、大量出血による命の危険もある重い病気です。これらは食道、胃、大腸からの出血がほとんどであり、胃カメラや大腸カメラで出血源を確認し、原因に合わせて適切な止血処置を施して治療を行います。ところが、従来の検査では出血の原因、出血源がはっきりしない場合が時々あり"出血源不明消化管出血"と呼ばれます。そのほとんど、が小腸からの出血で全消化管出血の中の5%程度といわれています。カプセル内視鏡はこのような場合に適した検査であり、保険が適応されています。カプセル内視鏡研究会が行った多施設共同研 究では出血源不明消化管出血135例中70例、52%がカプセル内視鏡で出血源が確認できました。検査がどうしてもできない患者様は、腸に狭窄がある人(腸に詰まってしまいます)、心臓ペースメーカーや電気医療機器の埋め込まれている人(誤作動を起こす場合があります)となります。MRI検査もカプセル内視鏡が排泄されるまでは行えませんので注意が必要です。費用は保険診療3害Ij負担で約3万円程度です。
 このように見てくると、楽で、簡単で、有能な検査と思われますが、万能な検査とはいえません。問題点を挙げてみると、①カプセル内視鏡は消化管の嬬動(ぜ、んどう)運動(食べ物を消化するための動き)で進むため、病気などの見たいところで止めて十分観察することができません。方向を変えることができないため胃の検査には向きません。食道は数秒で通り過ぎてしまい観察できません。バッテリーの持ち時聞が短く、大腸の観察も困難です。つまり、小腸以外の検査としては有効とはいえません。②腫瘍やポリープなど見つけた場合や出血源が判明した場合に、生検(組織の検査)や止血処置ができません。病気が見つかった場合にはダブルパールーン小腸内視鏡といわれる長い特別なカメラで処置を行う必要があります。③腸管� � �狭いところがあると、カプセル内視鏡が引っかかってしまい、上記のカメラを用いて回収したり、悪くすると外科手術を行って腸管を切除しなけれはならない場合も有ります。現時点では出血源不明の消化管出血の原因を調べることには有用ですが、小腸以外の検査で胃カメラ、大腸カメラに取って代わるようなものではありません。欧米では、食道検査用、大腸検査用などのカプセル内視鏡の開発も行われており、将来的にはもっといろいろな検査ができる可能性も秘めています。

消化器内科部長 松浦哲生
No.60 2009.4.1発行 編集:教育・広報活動委員会


なぜ汗がしょっぱいですか?

人間の筋肉のポスターを購入する場所

禁煙してみませんか?

 日本人の喫煙率は年々減少傾向にはありますが、2006年の調査ではまだ日本人の男性の39.9%、女性の10.0%の方が喫煙しています。喫煙している方は、たばこが健康に悪いということは知っていても、なかなかその実感が持てないのではないでしょうか。喫煙はさまざまな病気の発症リスクを高めることがわかっています。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、そのほかにも多くの病気の発症リスクを高めます。逆にいえば、禁煙することでこれらの疾患の予防をすることが可能であり、禁煙は全体として多くの重篤な疾患の発症や死亡を劇的に減らすことができる方法なのです。
 どうして喫煙はなかなか止められないのでしょうか。喫煙習慣の本質はニコチン依存症であり、本人の意志の力だけで長期間の禁煙ができる喫煙者はごくわずかであることが明らかになっています。欧米ではニコチン依存症を「再発しやすいが、繰り返し治療することにより完治しうる慢性疾患」ととらえて、禁煙治療をひろくすすめています。わが国でも、2006年4月に禁煙治療が保険適応され、一定の条件を整えた医療機関では健康保険を利用して禁煙治療を受けることができるようになりました。当院でも、敷地内禁煙などの条例が整い、2008年11月から禁煙外来を設置して保険診療による禁煙治療ができるようになりました。
 現在、保険診療で禁煙治療を受けるには、①直ちに禁煙しようと考えていること、②ニコチン依存症に係るスクリーニングテス卜でニコチン依存症と診断されること、③ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上、④該当治療を受けることを文書で同意することが必要です。(1つでも該当しない場合で禁煙治療を希望するときは、保険診療は適応とならず自費での診療となります。)治療期間はおおむね12週間。治療方法はニコチンパッチ(商品名:ニコチネルTTS)を使ったニコチン代替療法又はパレニクリン(商品名:チャンピックス)というお薬を使った治療の2種類があります。ニコチンパッチは、禁煙時に出現するニコチン離脱症状に対して、ニコチンを薬剤の形で補給しその症状を緩和しながらまず心理的依存(習慣)から 抜け出し、次にニコチン補給量を調節しながらニコチン依存から離脱するというものです。市販されているニコチンガムも、同じニコチン代替療法です。ニコチンパッチやニコチンガムを用いると、禁煙率が約2倍高まるといわれています。
 次に、バレニクリンというお楽は、脳内のニコチン受容体と考えられているα4β2ニコチン受容体というところに結合することによってニコチンの結合を妨げ喫煙による満足感を抑制したり、少量のドパミンという物質が放出されるためこれによって禁煙に伴う離脱症状やたばこに対する切望感を軽減します。バレニクリンを用いると禁煙率が約3倍高まるといわれています。禁煙外来では このようにニコチンパッチやパレニクリンというお薬を使って禁煙を手助けします。 費用も保険が使用できれば、3割負担の方で月に平均4,000円~6,000円と、たばこを買うのと同じくらいか、むしろ安いくらいではないでしょうか。もし禁煙に成功したら、12週の治療が終わった後は、たばこを買わずに済む分の貯金ができてしまいます。
 たばこをやめたいと思っている方、ぜひ禁煙外来を受診して治療を始めてみませんか。

参考文献
1.循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2003-2004年度合同研究班報告):禁煙ガイドライン.Circ J. 69 (Suppl IV): 1011-1015,2005
2.禁煙治療のための標準手順書 第3版,日本循環器学会,日本肺癌学会,日本癌学会,2008.

呼吸器・アレルギー内科部長 西山 理
No.59 2009.1.1発行 編集:教育・広報活動委員会

突然の激しい頭痛に襲われたら

 頭痛を経験したことがない人はいないでしょう。頭痛にはいろいろなパターンがありますが、最も恐ろしい頭痛は、突然、今までに経験したことがないほどの激しい頭痛が起こる場合です。バットで殴られたような痛みといわれ、嘔吐や意識障害を伴うことがしばしばあります。このような症状がある場合、安静にして、すぐに救急車を呼んでもらい、陶生病院に来てください。夜だから明日行きましょうとか、何とか自分で車を運転して病院へ行こうなどと思わないでください。くも膜下出血の可能性があるからです。
 くも膜下出血が恐ろしいのは、発症直後に約10%の方が亡くなるということからだけではありません。ほとんどの場合、脳動脈瘤が破裂して起こるこの病気は、最初の出血が少なくて、病状が軽そうに見えても、脳動脈瘤が再破裂して、あっと言う間に急変してしまうことがあるからです。当院では救急外来で頭部CT撮影も行い、くも膜下出血とわかると、絶対安静となり、脳神経外科専門医が治療を引き継ぎます。CTでは脳動脈瘤の有無や場所、大きさなどはわからないため、血管撮影や3DCTを行い、脳動脈瘤がみつかれば、動脈瘤に対する治療を検討します。
 くも膜下出血に対する治療の主目的は脳動脈瘤を処理して再破裂をおこさないようにすることです。これには、大きく分けて2つの方法があります。クリッピング術は全身麻酔下で開頭術をおこない、顕微鏡下で脳動脈瘤の頚部にクリップをかける方法です。治療効果は確実で安定した成績が得られています。もう一つの方法は頭を切らずに行う血管内塞栓術です。マイクロコイルで脈瘤を血管の内側からつめてしまうことにより再破裂を防ぎます。比較的新しい治療法ですが、技術が目覚ましく進歩し、治療成績も良くなっています。当院では主にクリッピングで治療していますが、症例によっては血管内塞栓術を行います。しかし、上記のような治療を行って、元気に退院できるのは、くも膜下出血の患者さんのうち比較的軽症の� � �に多く、意識障害のある重症患者さんの治療成績はよくありません。脳動脈瘤は一旦破裂して、くも膜下出血を起こしてしまうと、我々が懸命に治療しても全体として半分くらいの患者さんが亡くなったり、寝たたきりになってしまう恐ろしい病気なのです。
 それでは、前触れがないといわれるくも膜下出血を未然に防ぐことはできないのでしょうか。当院でも行っている脳ドックはくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を破裂する前に発見するのに役立っています。破裂していない脳動脈瘤が検査で見つかった場合は、破裂の危険性と治療の合併症の確率を比較しながら治療するかどうかを決めます。もちろん治療成績は破裂してくも膜下出血になった場合より良好です。くも膜下山血は40歳代や30歳代にも起こることがあり、親子発生や姉妹発生も時々みられます。心配な方は是非、当院健康管理部で脳ドックを受けてみませんか。頭痛などの症状があって心配な方は、脳神経外科や神経内科で相談されてMRA検査をしていただいても結構です。


脳神経外科部長 纐纈直樹
No.58 2008.10.1発行 編集:教育・広報活動委員会


腹八分目

 健康で長生きしたいと願わない人はいないでしょう。実は健康で長生きできる方法が医学的に唯一立証されているものがあります。それは『腹八分目』です。
 さて、私たち日本人の生活習慣の変化や高齢者の増加などにより糖尿病などの生活習慣病やその予備軍が非常に増えてきていることは、今更言うまでもありません。糖尿病とその予備軍は併せて現在約1620万人、わずか5年間で1.2倍に増えてきています。この増加の原因の一つがメタボリックシンドロームです。この言葉は流行語までになりましたが、21世紀に入って世界規模の飽食と車社会が進み、過栄養と運動不足を基盤にして発症してきた糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、高血圧といった疾患対策の中で生まれてきた疾患概念です。過栄養や運動不足によって生じる過剰エネルギーが脂肪細胞に蓄積された結果、肥満が起きます。この肥満こそが、メタボリックシンドロームという疾患概念の上流に位置するものなのです。肥満に� �� ��大きく分けて内臓脂肪と皮下脂肪があります。メタボリックシンドロームで問題となるのは、内臓に蓄積されてくる脂肪の内臓脂肪です。まさにお父さんの『おなか周り』なのです。しかし、あれほどまでに太っている相撲の力士たちはどうかといえば、皮下に蓄積される脂肪の皮下脂肪がほとんどで内臓脂肪は非常に少ないのです。その違いはどこから来るかといえば運動量なのです。力士は大量に食べます。それも1日2食の食べ方です(この食べ方は実は太りやすいのです)。しかし、過酷な稽古により、食べたエネルギーを消費し、さらに内臓脂肪はとても燃えやすい脂肪のため、燃焼されてしまうのです。内臓脂肪は元々私たちの祖先が、飢餓を乗り越えるためにエネルギーを蓄えておくためのものでした。従って、飢餓が来 る� ��すばやくエネルギーに変換されてきました。現代の生活の中で私たちは過食によって過剰なエネルギーを蓄積することはあっても、飢餓にさらされてこの内臓脂肪を消費することはまずありえません。さらに最近の研究によって、この内臓脂肪からは様々なホルモン物質が出ている事がわかってきました。このホルモン量によって動脈硬化や糖尿病が引き起こされてきている事も判明してきたのです。
 後期高齢者医療の問題が大きく取り沙汰されている昨今ですが、何よりも病気にならない事を目指して、国が様々な取り組みをおこなっている事も事実です。生活習慣病は脳卒中や心筋梗塞、腎臓障害といった疾患の合併を引き起こします。まずは予防が何よりです。誰もが現代の生活習慣を続けていくと発症する可能性が高いのが生活習慣病です。不必要な過食を避け、出来る限り、歩いたり、階段を利用したりする生活は今日から出来る健康法です。冒頭に記した現在唯一立証されている健康で長生きできる方法の『腹八分目』をどうぞ実践してみてください。そうすれば、国も後期医療者制度などという苦肉の策を講じなくてもよくなるはずだと思いますが。

内分泌・代謝内科部長 吉岡修子
No.57 2008.7.1発行 編集:教育・広報活動委員会

花粉症

 花粉症とは花粉を抗原として起こるアレルギー性反応の総称です。その代表的な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。スギが原因であれば春先の2月から4月頃、イネ科の植物なら初夏、ブタクサなら夏から秋、ヨモギやカナムグラなら秋頃に発症します。また、一年中症状がある場合は-クスダスト、ダニアレルギーが疑われます。
【どのようにして治すか?】
 花粉症かなと思ったら、まずは耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。その症状がアレルギーによって起こっているものか診断をつける必要があります。診断がつけば抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬の内服や、ステロイド剤、抗アレルギー剤、血管収縮剤の鼻内噴霧などにより治療を開始します。症状の出る少し前から抗アレルギー剤の予防投与といった方法もあり、薬物治療でどうしても改善が見られない場合は、手術療法の適応となります。
【花粉症対策】
 薬を使うことと同様に重要なことは、花粉を避けることとなります。花粉症は花粉にさらされることで症状が引き起こされるため、花粉との接触を減らせば症状は軽くなります。できる限り花粉を避け、その上で薬を用いれば、日常生活にほとんど支障のないところまで症状を押さえることができます。それではどのようにして花粉を避ければよいのか、以下にその方法を紹介します。
1.花粉情報を知る
 毎日の花粉飛散数の予測は、重要な情報となります。最近ではスギ花粉のシーズンになると、新聞やテレビで花粉情報を得ることができるようになりました。また、インターネットの花粉情報サイトも多数あり、情報源として有用です。
(環境省花粉情報サイト
 花粉が多い場合にはできる限り外出を避けましょう。
2.外出時の対策
 天気がよく風の強い日、雨が降った翌日、昼の12時から15時頃、花粉の飛散量は多くなります。外出時にはマスク、眼鏡、帽子などで鼻や目を保護しましょう。上着は表面のすべすべした生地のものを選び、家の中に入るときは玄関前で衣類をはたいて花粉を落としましょう。家族の方にも徹底していただければ効果も上がります。帰宅後にシャワーを浴びると髪や体に付着した花粉を除去できます。
3.室内に花粉を持ち込まない
 洗濯物や布団は干した後に花粉を払い落としてから取り込むか、室内干しで済ませるようにします。窓は開放しておくと花粉が入り込むこととなるので閉めておきます。室内の空気清浄機も効果的であり、掃除のときは濡れ雑巾で床をふきましょう。
4.花粉以外の刺激を避ける
 タバコ、アルコールは粘膜の刺激やうっ血の原因となりますので、控えておくべきです。心身の過労や睡眠不足などのストレスも症状を悪化させる原因となりますので注意しましょう。
5.家庭療法
 専用の機械を用いて43度に熱した温水をエアロゾル(蒸気を粒子にして出す)にして吸入する温熱療法や、生理食塩水(約0.9%濃度の食塩水)で鼻を洗浄する鼻洗浄、人口涙液(涙を補い、目の乾燥を防ぐ薬)を用いて目を洗う眼洗浄、これらは自宅で行える治療として効果的です。ただし、あくまで補助的な治療として活用してください。

耳鼻咽喉科 小出悠介
No.56 2008.4.1発行 編集:教育・広報活動委員会



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(5/15)禁煙による体重増加が肺機狽ノ悪影響

禁煙後の体重増加のためª阻害年5月に肺のマシンの重量が増加したため、禁煙した 後にはもっと多くの仕事をする必要はありません。 ... では、被験者の年齢が高くなる につれ、肺のマシンªため、全体の減少がなく、これまでの経験の喫煙、非喫煙者に比べ 喫煙者の肺の人々は、マシンのように大きく低下してベッドです。 ... アメリカ科学衛生 審議会( acsh )医療ディレクターギルバート博士l.ロス、停止短い禁煙を終了する必要は ない、といくつかの重量を得るにも禁煙とする1つの人々が見たことがないとしての重量 の増加 ... read more

石綿QA

これらの天然鉱物を原料として使用した製品には、石綿が0.1重量%を超えて含有する 場合も考えられますので、注意が必要です。 3. 石綿は、 ... なお、石綿を含有していない ことの判断基準は、日本とドイツが0.1%、ドイツ以外のEU諸国では意図的に使用し ていないこと、アメリカでは1%となっております。 ... また石綿測定機器もなく、利用者や 作業者は石綿の危険性について十分に理解していない。 .... 基本的には、JIS A 1481「 建材製品中のアスベスト含有率分析方法」に基づいて、分析を行い石綿有無の判断をし ます。 read more

最新情報ヘッドライン Vol.12 お笑いアメリカ裁判① ~賠償金算出の論理 ...

2003年2月22日 ... アメリカ人のジョ-ク好きは有名だが、最もウケがいいのは弁護士 をコケにした ... おかしな裁判と判決が頻発することにある。 90年代後半 ... 肺ガンや心臓病などの健康 被害を被 った喫煙者が .... 懲罰的賠償とは、加害者に罪の重さを認識させるだけでなく 、将来 同様の ... 訴訟のたびに巨額の報酬を得る弁護士である」 法による ... read more

福岡県庁ホームページ アスベスト(石綿)についてのQ&A

アスベストは、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込む ことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、 ... 具体的には、吹付け アスベスト及びアスベスト含有吹付けロックウール(そのアスベストの重量含有率が0.1 %を超えるもの)が規制の対象です。 ... 1 石綿(アスベスト)肺 肺が線維化(硬くなる)し てしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。 ...

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